隠崎隆一 作品の謎


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隠崎隆一さんの作品は、その奇抜な造形で多くの人を魅了しています。私もその造形に魅了され、隠崎さんの作品を所有しています。

私自身焼き物の作り手なので、隠崎さんの作品を見るたびに、「こういう作り方もあるのか!」と思う部分が多々あります。例えば写真左のぐい呑です。このぐい呑、
内側の底が盛り上がっているのです!

なぜ内側の底が盛り上がっているのかというと、底を押してへこませたからです。下の写真はそのへこみです。なぜ隠崎さんは底をへこませたのか、それは三つ足にするためだと推測されます。

へこませることによって、足の部分を作るのです。
足を”つける”のではなく、”へこませて”足となる部分を作るという発想に驚かされます。

この自由な発想が、隠崎さんの魅力です。
備前徳利 隠崎隆一 1
次は隠崎さんの徳利です。この徳利は注ぎ口と首の部分を見る限り、電動轆轤で作られていると思われます。胴体の部分は厚めに挽き、後で面取りをします。

ここまではどのように作ったかわかるのですが、この足の部分だけはいまだ謎です。

この徳利は底が2センチほどへこんでいます。このへこみ、押さえてへこませたのではありません。これだけへこますと、底割れしてしまうからです。では、どうやってつくったのでしょう?

そこでいろいろ予想してみました。まずは足の部分をつける方法です。足をつけるにはこの方法が一番簡単なのですが、面取りをしているために接着面の部分に亀裂が入り、割れてしまう可能性が非常に高いです。

2つ目は、足の部分の土を胴体の部分からひっぱってくる方法です。胴体は厚めにひいているのでやわらかいうちに触ってもあまり変形しませんし、表面は削ってしまうので、指紋なども残りません。それに接着部分から割れてくることもありません。ですが、これだけの土をひっぱってきて足を作るのは、相当難しいと思います。
備前徳利 隠崎隆一 4

3つ目は、二重底にする方法です。説明するのがちょっと難しいのですが、
まず厚めに挽き、口を閉じます。そしてその上に徳利を作ります。そうすると徳利の下に空気が閉じ込められた空間ができます。その空間の側壁の部分を、”足”にするのです。

しかしこの方法では、轆轤を挽くのに相当のテクニックが要求されます。となると、2つ目の方法で作られているのでしょうか?

隠崎さんの作品を見ると、隠崎さんから「さあ、この作品はどうやって作ったのかわかるかな?」なんて問いかけられているようで、それがまた隠崎さんの作品の魅力なんですね〜。



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隠崎隆一 個展 隠崎隆一 陶展 2002年12月3〜9日 日本橋三越
隠崎隆一 2001年9月12〜18日 名古屋松坂屋
その他 隠崎隆一 作品の謎

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