1999年5月2日、私は仕事を終えて帰宅。慌ててシャワーを浴び、荷物を持って博多行きのバス乗り場へと向かう。私の乗り込んだバスは、普段は観光用として使用されているタイプのものであったため、ほとんど眠ることができないまま小倉駅前に到着。今度はJRに乗り換えて3時間、やっと日田駅に到着。日田駅のバスターミナルで小鹿田行きのバスを調べると、次のバスは2時間半後ということが判明。元気があれば市内観光といくところだが、睡魔には勝てず、駅前の公園で昼寝。11時過ぎに目が覚め、ラーメン屋で早めの昼食をすませ、12時発のバスに乗り込む。そして1時前にやっとのことで小鹿田に到着。.

まずは小鹿田陶芸館へ。照明のスイッチをオンにして(セルフサービス)、作品を見て回る。ここでは小鹿田焼きの技法(打ち刷毛目、飛び鉋、打ち掛け、流し掛け)の作品を一同に見ることができる。飛び鉋蓋つき大壺が目に止まり、立ち止まって眺める。これだけ大きな作品に一定のリズムで飛び鉋の模様が入っていると、非常に迫力がある。他にも大物が数多く展示されていたので、かなり見応えがあった。一通り見終わったところで照明のスイッチをオフにし、陶芸館を後にする。 

次は陶芸館からほど近いところにある採土場へ。赤土はここから採っているようだ。化粧に使う土は、他の場所で採っているように思う。また、ここから小鹿田の町が一望できる。窯元10軒、民宿2軒、商店1軒、そば屋1軒。まさにやきものを中心に回っている町である。

次に窯元を見て回る。さすがにゴールデンウィークとあって、どこも賑わっている。器の値段は、薪窯で焚いたとは思えないほど安価で、飛ぶように売れていました。町を歩いていると、唐臼の「ギィーーーッ、ドン」という音があちこちから聞こえてくる。水を利用して土を細かく砕いているのである。唐臼を使用しているのはおそらく全国でもここだけだろう。

窯元をまわっていると、乾燥させるために作品を外に運んだり、土を乾かすために小さな窯を焚いている光景を何度も目にしました。他の焼き物の産地では、ゴールデンウィークには絶対に見られない光景です。     


小鹿田で唯一食事にありつける「山のそば茶屋」。駅前でラーメンを食べてきたことを後悔。
わずか1時間半の滞在でしたが、とても楽しめました。右を見ても左を見てもやきもの、耳を澄ませば唐臼の音。やきものが好きな人にはこたえられない町です。ぜひ訪れてみてください。                  

小鹿田焼関連書籍 「小鹿田焼 すこやかな民陶の美」 ¥3000
小鹿田焼の歴史、技法から窯元の家族構成、ペット、趣味まで、非常に詳しく書かれています。
作品の写真も多く、見ているだけでも楽しめるようになっています。  
    

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